ケアマネジャー試験の独学で受かるための勉強法

福祉

ケアマネジャー試験は独学で勉強できるのだろうか?
働きながらどうやって勉強するの?
受験勉強なんてほとんどしたことないから不安。

そう考えるケアマネジャー試験の受験生は多いはず。結論から言うと、ケアマネジャー試験は独学で合格できます。

独学で受かる人は多くいますし、そもそもケアマネ試験は受験要件的に実務経験のない学生は受けられないため、働きながら勉強して資格を取る人が多いです。

しかし、働きながらの勉強はモチベーションも維持しづらく、時間も足りなくなりがちです。そのため、ただやみくもに勉強するのではなく、しっかりとした勉強の戦略を立ててやる必要があります。
それでは独学でケアマネ合格するための勉強方法について解説します。

独学でのケアマネ試験合格のための基本戦略

ケアマネ試験の出題型式・傾向を知ろう

試験を受ける際に、どのような試験(敵)が出るのかを知らずに勉強をするほど無駄なことはありません。例えばすべて選択式なのに小論文の勉強をするのがどれだけ無駄なのかを考えればわかると思います。

試験を受ける前に、いつ頃でどのような形式の試験が出て、どのような問題が出るのか、どのような出題傾向なのかを知っておくことはその後の勉強戦略に影響するために非常に重要です。

例えばケアマネジャー試験は必ず10月の第2~第3日曜に行われ、問題数は60問です。すべて問いかけに対して5つの選択肢が提示され、そこから2~3個正しいものを選ぶ方式になっています。

例えば…

問1 介護保険制度について正しいものを3つ選べ。
 1 2000(平成12)年に介護保険法が公布された。
 2 第1号被保険者は65歳以上の高齢者が加入する。
 3 介護保険料はすべての国民が支払う。
 4 被保険者が介護サービスを利用すると一定割合が給付される。
 5 地域支援事業という制度がある。

答え:2,4,5(ちなみに介護保険法は2000年に「施行」(公布は1997年))

すべてこの方式です。記述問題などはありませんが、5肢択一ではなく複数選択式なので、あてずっぽうで当たる確率はより低くしっかりと勉強をし理解しておくことが大事です。

合わせて、出題傾向がわかる場合は必ず押さえておきましょう。ケアマネは過去問題がすべて公開されているのでそれを知ることは可能です。

例えば「介護認定審査会の出題率は○%」のような細かい分析は不要です。
そうではなくて「加算に関する出題が多いな」とか「○○は毎年必ず出題されるな」「○○は出たことがないな」と、心に浮かぶようになる程度に知っておけばOKです。

詳しくはご自身で過去問を見て、どんな感じなのかを理解するだけでなく実感できるようにしておきましょう。

独学可能だができるだけ早めに始めよう

ケアマネジャー試験はもともと一定の知識のある人を対象としているため、何年もかけないと取れない資格ではありません。また、必ずしも講座やスクールに申し込まないといけない試験でもありません。

ただ、多くの方は本業をこなす中での試験勉強になると思います。1か月前という短期間で一夜漬けで勉強して取れるような資格ではありません。1年ほどかけるなどできるだけ早めに試験勉強を始めましょう。

学習計画を立てよう

長い期間受験者を見ている中で、合格率がよさそうなのはざっくりとでも学習計画を持っている人でした。

ただ漠然とテキストをやって、問題をこなして…という人は身につかない、というよりは途中で中だるみして試験勉強をやめてしまったり、試験日までに試験範囲の勉強が負えられなかったりします。

もちろん、細かい計画は不要です(できる人はやったほうがいいですが、性格の相性もあるので)。ですが、「○月までに介護支援分野のインプットを終わらせよう」「○月からは過去問を3年分解く時間に充てよう」といったレベルでよいので何月に何をやるのか、大体の学習計画を持っておきましょう。

例えば…

○12月くらいまで…保健医福祉サービス分野の過去問を解く
○2月くらいまで…ワークブックで不正解率の高い部分を学習する

○4月くらいまで…過去問をもう一度解く
○6月くらいまで…介護支援分野の過去問を5年分解く

      ・・・・など

ケアマネ合格のための勉強法

過去問から入るスタイルが一般的

ケアマネジャーの勉強は過去問から解いて、わからない部分をテキストやワークブックインプット系で確認するというスタイルを推奨する先生が多いです。

ケアマネの勉強法はアウトプットからインプットへ

ケアマネジャー試験で問われる内容は介護保険法の知識や高齢者の疾病・疾患の知識などです。これらはケアマネの資格要件に必要な基礎資格を取得した時に習ったこと実際に働いているときに触れる機会の多い項目です。

そのため、初めからテキストを読んで1から知識を学び直すというのは、理想的ではありますがかなり非効率です。知っている部分は飛ばし、知らない部分を重点的に学ぶために、まずは過去問を解いて自分の知らない部分・苦手な部分をあぶりだして勉強を進めるという方法が理想的です。

ただしこれはその人の学習状況やこだわり、性格によります。
例えば過去問を解いて、わかる問題がほとんどなかった場合は一度テキストを読み通すことをおすすめします。
また、ある程度わかる方でも、歯抜けでやっていくのは嫌だ気持ち悪いと感じる人もいます(私はこれです)。
勉強は継続してできることが最もよいです。気持ち悪さに耐えられず挫折してしまうくらいなら最初からテキストを読み通して知識を体系的に学ぶほうがよいでしょう。

「テキスト1冊をやりきる」

書店に行くとこれでもかというほどに、ケアマネジャーの受験対策書籍が並んでいます。どれもこれも手をつけたくなりますが、自分が気に入ったものを1冊まずは読み通してください
具体的には問題集なら2~3周する、テキストやワークブックなら2~3回読む…ということをやること。

各出版社のテキストを読み比べたことがありますが、どれも優秀で飛びぬけて学習効果が高いテキストというのはありません。何冊も買ってそれぞれうわべだけさらっとやるのではなく、1~2冊を何度も徹底的にやる…というのがより効果的な学習方法です。

必要なテキストの種類は2種類。過去問題集と、ワークブックなどのテキスト類だけで十分ですが、すでに何周もした、など余裕のある方は模擬問題集など他の参考書も手を出してみてもよいかもしれません。

「数をこなす」ことに執着しない

1冊を何周もしろ!とはいいましたが、試験勉強の目的は何周もすることではなく、合格することです。何周もするのは合格のための知識を身につける手段です。

何も考えずに、数をこなすだけに執着していると、全く身についておらず、試験を受けて惨敗…ということもあります。

当たり前に思えますが意外と忘れがちになるのです

例えば意味の分からない問題があったときに、数をこなすことを優先して飛ばしてしまうのではなく、ワークブックに当たったり、Web検索などで調べたりして、いろいろな方面から理解できるようにしておきましょう。

ただ漠然とそれをやっていると時間が足りなくなります。その意味でも、事前にいったなんとなくの学習計画を持っておくことは重要です。

ケアマネの勉強での注意点!

法改正に注意!

ケアマネジャー試験の中で「介護支援分野」は特に介護保険法の改正のあおりを受けます。特に介護保険法は、市町村等が作成する「介護保険事業計画」の改訂に合わせ、3年に一度は必ず大きい改正がされますので、その年に当たる人は最新の法改正内容に留意する必要があります。

そのため、テキストはなるべく最新のものを使用し介護保険改正をまとめた動画や書籍を読んでおくとかなり安心できます。

勉強はなるべく早く開始すると言いましたが、同じ理由から、初めのころは法改正の影響をあまり受けない保健医療福祉サービス分野の勉強をすることをおすすめします(そのため例示した学習計画も介護支援分野が後回しになっています)。

「実務と法の違い」に注意!

働きながら学習しているからこそ、注意しなければいけないのが、「実務上の規定」と「実際の法律の違い」です。

例えば、利用者に関する書類の保管期限は、介護保険の運営基準上2年間という風に規定されていますが、市町村の条例では5年になっている場合や事業所独自の基準で5年になっている場合があります。

次に示すのは訪問介護の記録に関する国の運営基準と横浜市の運営基準の違いです。上が国で、下が横浜市です。

(記録の整備)
第39条 
省略
2 指定訪問介護事業者は、利用者に対する指定訪問介護の提供に関する次の各号に掲げる記録を整備し、その完結の日から2年間保存しなければならない

平成11年厚生省令第37号『指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準』(傍線は筆者)

(記録の整備)
第42条 指定訪問介護事業者は、
当該記録のうち次に掲げる記録をその完結の日から5年間保存しなければならない

平成24年12月横浜市条例第76号『横浜市指定居宅サービスの事業の人員、設備、運営等の基準に関する条例』(傍線は筆者)

居宅サービスの運営基準は国の運営基準を参考に保険者(市町村等)が制定するのですが、試験で問われるのは国が定める運営基準ですので留意が必要です。

このように、国と地方公共団体もしくは事業所の規定の違いを意識していないと「なんで法律はこうなっているのに、普段うちはこうしているのだろう?」と混乱する原因になります。

実はこのようなお問い合わせ、結構ありますのでご注意ください。